kuroの読書日記

私が読んだ本の感想や紹介をします。ネタバレを含みますので抵抗のある方はブラウザバック推奨です。

盲目的な恋と友情(辻村深月)

きっと女性が思い描く理想的な王子様の1つ。

きっと女性の身近にいる友人の1人。

 

物語は2部構成。1部は恋。2部は友。

 

道徳の観点からは謂れの無い、しかし我々は納得せざるを得ない言葉は心を繊細にし、その上厭らしく捻じ曲げる。

その心から生まれる行動、言葉たちはその痛みを知るからこそのものであろう。

 

私はこの本の世界が好き。

だってそうじゃないと楽しくないもの。

 

 

流浪の月(凪良ゆう)

伝わらない。

通じない。

届かず、

孤独。

苦。

 

 

そんな感情が押し寄せて心が離れていく。

月が何を意味するか。

 

私もアイスとエメラルドクーラーいただくことにしようかな。

ポンペイサファイアってきれいなボトルなのよね。

今日の文章は 重たいかな?

 

 

 

アリス殺し(小林泰三)

 読み始めた直後の感想。なんて読みにくい話し方するやつらばっかりなんだ。

 読んでる最中の感想。グロい。頭おかしい。グロい。

 読み終えた感想。そうだったの!?

 

 というわけでこの作品はミステリ、ホラーに分類されるのかな?物語は不思議の国と地球上のお話が行き来しながら進んでいく。正直なところ、最初の蜥蜴のビルや三月兎、頭のおかしい帽子屋たちの会話が非常に読みにくい。出来の悪い、常に論理的に会話するAIのような話し方である。仲間を見分ける合言葉決めるのに言い合いしてる。スナークはブージャムだった。

 序盤、ハンプティダンプティの割れた殻に残る体液を啜るシーンがあるのだが、本を持ちつつ吐きそうになった。その他にもかなりショッキングなシーンが多々あり、私にとってはかなり難易度の高い小説であった。

 しかしストーリーの展開は面白く、文体も情景が容易に浮かびことから精緻なものと感じた。もしかしたら私がアリス好きなだけかもしれないが。そしてやはり非誕生日を祝ってるので安心してほしい。

 人を選ぶ作品であると言ってもよいのかも知れない。ディズニーのアリス好きな友人にはおススメしないが、バイオハザードシリーズ好きな友人にはすすめてみると思う。ただ、私は面白い作品に出会えてよかったと感じた。

アイヌ神謡集(知里幸恵)

 

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

  • 発売日: 1978/08/16
  • メディア: 文庫
 

 

 アイヌが口伝えに繋いできた神謡、それを13編選び、左ページにはローマ字で音を起こし、右ページには日本語訳を著したのが本書である。

 この神謡はアイヌユカルと呼ばれ、狭義では熊、梟、鮭、沼貝などの動物神、トリカブトアララギなどの植物神、舟や錨などの物神、火の神や風の神などの自然神が自らの体験を語った形で進んでいく物語のことを指す。また、人間の始祖とされる文化神オイナカムイ(アイヌラックルやサマイクル、オキクルミなど地域によって様々に呼ばれている)が自ら歌った謡はオイナとアイヌ民譚集(知里真志保)で区分されるが、広義のアイヌユカルはこのオイナも含むとされている。

 

 さて、本書はそのような広義のアイヌユカルが記されている。アイヌでは一定の法式に則って神を崇拝し、丁寧に祭ったので神々はアイヌに海幸、山幸を分け与えたのである。カムイは本来人と同じ姿をしているが、人の前では動物のすがたをし、人にその肉を与える、というのがアイヌの人たちの考え方である。美しい自然に抱擁され天真爛漫な稚児のように生活してきたアイヌの人たちと共に存在したカムイたちのカムイユカラをぜひ一度聞いてみてほしい。

 また、本書の序文に知里幸恵の無念が記されている。現在、近文も旭川市の一部となり市民は歴史としてアイヌが生活していたことを知っていてもその文化はほぼ知っていない。時代は違えど北海道で育った身、ひとつこの本のことだけでも知っててもよいのではないだろうか。

 

麦本三歩の好きなもの(住野よる)

  この小説を手に取った理由。表紙がBiSHのモモコグミカンパニーだったから。私はBiSHの清掃員(彼女たちのファン)である。彼女たちの訴える言葉はよく『飾らない等身大の言葉』と評され、共感する人たちも多く、愛されている。

 住野よるさんの作品は『君の膵臓をたべたい』を読んだことがある。映画が大ヒットし瞬く間に名が知れ渡ったのが2017年。そちらも非常に面白く、タイトルと同じ言葉が最後に登場するときには心が溢れ出さずにはいられなくなった。

 

 さて、この物語は麦本三歩という20代の図書館職員の女性が主人公で、彼女の日常が描かれている。彼女はいわゆる天然、少し抜けた子である。これがまた表紙のモモコさんと重なってくる。彼女もまた、少し抜けた天然さんであることがTwitterやBiSHのラジオ番組などでうかがえてくるのだ。

 私はこの本を読むとき、三歩役はモモコさんが当然のように当てはまった。おっちょこちょいなところ、仲間とのやり取り、変な噛み方、その他もろもろ、すべてモモコさんが私の手元で動いていることを感じながら読み進めていく。違和感はさほど感じない。モモコさんを見ているとこっちまで楽しくなってくるようだった。

 

 BiSHが好きな人は読んでみることをおすすめする。私のようにモモコさんに演じてもらいながら読むことは作者の意図しないことだろうが、清掃員ならこのような楽しみ方もできるかもしれない。

 

 

麦本三歩の好きなもの (幻冬舎単行本)

麦本三歩の好きなもの (幻冬舎単行本)

 

 

自己紹介

はじめまして。くろといいます。

 趣味はドライブとツーリングですが、なんか外出がためらわれる状況になってしまってあまりに暇で村上春樹さんのノルウェイの森を読んでから小説ドはまりしてしまった人です。

 頭の容量少ない人なので本読んでその時どう思ったかをほぼ自分用にそのまま記録していこうと思った次第であります。ネタバレは気を付けているつもりです。きっと未来の自分が展開思い出せないような気もしますがその時はまた読めばよいのです。

 

 本のジャンルはバラバラです。それはもう奇々怪々。猟奇的。映像だとプリズンブレイクは3話で指がちょん切られるシーンでこれ以上見るのは無理と諦めた人間ですが小説は大丈夫みたいです。それに関する映像のレパートリーが少ないのでしょう。

 

 拙い文章で読みにくいかもしれませんが何卒よろしくお願いします

塩狩峠(三浦綾子)

 

塩狩峠 (新潮文庫)

塩狩峠 (新潮文庫)

 

 

 塩狩峠はかつての天塩国石狩国の境(現在は和寒町比布町)にある峠である。1898年に鉄道が敷かれ現在では国道40号道央道が並走し旭川-名寄その先の稚内までを結ぶ道となっている。(道央道は士別剣淵まで)

 本小説では1909年に実際に起きた列車分離、逆走事故による殉職事故を題材とし、多くの命を自らの犠牲によって救った若き鉄道職員の生涯を描いている。

 

 明治時代、キリスト教はヤソと呼ばれ多くの人には受け入れられていなかった時代である。武士の家系で生まれ、祖母に厳しく育てられた幼少時の信夫もまた、受け入れることは困難であった。しかし、要所要所にキリストの教えが現れ、信夫は考え、悩み成長していく。

 ある時路上で教えを説く男と出会い信夫は彼の路上での演説に引き込まれ心打たれた。「聖書のなかのどれでもいい。ひとつ徹底的に実行してみないか」と男は残し信夫のもとから去った。

 信夫はこの言葉の通り聖書のなかの教えを徹底的に実行した。「強盗に会い半死半生の人を助けないなんて不人情な、俺なら助けるに違いない」と、職と仲間からの信頼を失った同僚の隣人になることを決意した。しかし、後にこの同僚からの言葉で信夫は大きな過ちに気が付く。

 

 私がこの小説を手に取った理由は氷点が面白かったから。大した理由があったわけではないがこの小説には大きく感銘を受けた。人間の生き様とは、と非常に考えさせられた。この小説でも「汝の敵を愛せよ」と書いてあるが辻口家の話はまた今度にすることにして、塩狩峠を読了後は自分を省みた。自分はどうだ困った人の真の意味で隣人となれるのか、仇を憎まないのか。頭では解っている。しかし感情がついてこないうちはまだ青い。