麦本三歩の好きなもの(住野よる)
この小説を手に取った理由。表紙がBiSHのモモコグミカンパニーだったから。私はBiSHの清掃員(彼女たちのファン)である。彼女たちの訴える言葉はよく『飾らない等身大の言葉』と評され、共感する人たちも多く、愛されている。
住野よるさんの作品は『君の膵臓をたべたい』を読んだことがある。映画が大ヒットし瞬く間に名が知れ渡ったのが2017年。そちらも非常に面白く、タイトルと同じ言葉が最後に登場するときには心が溢れ出さずにはいられなくなった。
さて、この物語は麦本三歩という20代の図書館職員の女性が主人公で、彼女の日常が描かれている。彼女はいわゆる天然、少し抜けた子である。これがまた表紙のモモコさんと重なってくる。彼女もまた、少し抜けた天然さんであることがTwitterやBiSHのラジオ番組などでうかがえてくるのだ。
私はこの本を読むとき、三歩役はモモコさんが当然のように当てはまった。おっちょこちょいなところ、仲間とのやり取り、変な噛み方、その他もろもろ、すべてモモコさんが私の手元で動いていることを感じながら読み進めていく。違和感はさほど感じない。モモコさんを見ているとこっちまで楽しくなってくるようだった。
BiSHが好きな人は読んでみることをおすすめする。私のようにモモコさんに演じてもらいながら読むことは作者の意図しないことだろうが、清掃員ならこのような楽しみ方もできるかもしれない。